少しだけ触れた、カラスはどこへ



もしかしてひとりではないのかもしれないと、
もしかして同じ世界の住人は存在するのではないかと、
もしかして目を開いてもいいのではないかと、
突然目の前にあらわれた色に自分を全て乗せようとした。

あれから少し経って、
手のひらには何も残らなかった、
目の奥はすっかり乾いたままで、
青色をあきらめた日のことを思い出しただけだった、
遠い遠い、遠い日のことを。